ハイチ
「なぜ私たちの国だけがこんな運命を背負うのか?」
ハイチには2003年に一度だけ行ったことがある。その時に最後に泊まったポルトー・プランスの宿の親父が言った言葉だ。今回の大地震でその言葉を思い出してしまった。
黒人国家として世界で最初に独立した国はハイチである。当然、栄誉ある未来が約束されていると思っただろう。しかし蓋を開けてみるとアメリカに惑わされた運命、解放されても独裁につぐ独裁、その清算として脆弱になってしまった国家体制、西半球一の最貧国になってしまい、あげくの果てには「悪魔に魂を売った国」などとも言われてしまう始末。
確かにハイチに行った時を思い出すと、通貨が2種類あり何がなんだかわからなかったし、金うるさい奴が多くて面倒だなぁ〜と思ったり、安宿ですら銃を持った私設の警備員がいたり、浮浪者がいちゃもんつけてきたので怒鳴ってしまったし、朝から夜まで同じ場所で座っている無気力な失業者がうようよしていたし、交通事故で亡くなった遺体ですらも放置状態だったり、あたりまえに町は臭いし道は悪いし不衛生だし。
今考えてもロクな国じゃなかった。
でもそんなハイチだけど、2種類の通貨に戸惑うオレに違いやレートをやさしく教えてくれたお店の人やら、満員の乗り合いバスでオレのいっぱいの荷物を膝の上に乗せてくれた同乗のみんなやら、警備のための銃に興味津々だったオレに使い方や弾の込め方なんかを教えてくれた警備員やら、浮浪者に怒鳴ったオレに「ゴメン!ハイチはこんな国なんだ」と謝ってくれた青年やら、最後の夜に「一杯やろうよ。今夜は奢りさ」とヘイシャン・ラム『
バルバンクール』を注いでくれた前述の宿の親父、そして清潔とは言えなかったけど美味しかった屋台。
よくよく考えるとイイ思い出もいっぱいあるんだよなぁ〜。
ちなみにハイチってところは魅力的な音楽、絵画などのすばらしい芸術的才能で溢れているんです。ジャマイカなんてハイチに比べたらまだまだ序の口だからね。ヘイシャン・アートはアフリカ度が高く、ナイーブな感性十分なんです。アフロ=カリブ文化やアフロ=カリブ・アートが好きな人にとっては天国みたいなとこだと思うよ。そういえば宗教文化も特別だし。
ちなみにコレはその時に買った若手画家の絵。かわいいです。
今回の大地震で、ハイチに行った時に会った人たちは生きてるのだろうかなんて考えながら報道を見てしまいます。宿の親父、オレにハイチに代わって謝っていた彼、クラブ(ディスコティーク)であった女の子、絵を買った画廊の白人おばさん、ペチョンビルの宿の警備員。みんな生きていてくれ。またいつか行くから。
ハイチよ永遠に!
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